自計化・経理の合理化をお考えの方
事業を行っていくうえで、経理事務というのはイヤでも付きまとってきます。
特にアーリーステージの企業では、経理部門に力を入れるより、営業・販売に力を入れたい。
というのがホンネだと思います。
では、どうするか?
経理事務の省力化をするのです。
ここでは経理を簡素化し、分かりやすくする方法をお伝えします。
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経理事務を簡素化しよう!!
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通帳を分けよう!!
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パソコンは出来るだけ利用しよう!!
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自計化をすすめる(会計ソフトについて)
経理事務を簡素化しよう!
あなたの会社の経理には無駄がありませんか?
たとえば手書きで伝票や帳簿を書いてませんか?
先日、親友の公認会計士と話をしたのですが、どんな大企業でもペーパレス化は あまり進んでいないということです。
というより大企業になるほどペーパレス化は難しいのかもしれません。
彼曰く『紙は絶対に無くならない』といっていました。
それに比べて、私のクライアントで手書きの伝票を起票している会社は一社もありません。
もちろん手書き帳簿もつけている会社はありません。社内稟議書もメールで回す会社もあります。
ペーパレス化は中小企業だからこそ実現できるということです。
経理事務の簡素化の第一歩は思い切って手書き伝票や帳簿をやめていくことです。
社内で流れと決まりごとを作れば達成できます!!
通帳を分けよう!
私は普通口座を3つ以上作ることをオススメします。
我々の商売は通帳の残高合わせが多くなると大変なので、他ではあまりオススメされることもないかもしれませんが、実は分けたほうが便利です。
一つ目は売上入金用
二つ目は仕入・給与・経費支払い用
三つ目は資金引当用
もっと細かくも仕入・給与・経費用もそれぞれ口座を分けてもいいかもしれません。
口座管理もインターネットバンキングを使えば更に便利です。
インターネットバンキングのメリットは振り込みもパソコンで出来るのでわざわざ混んでいる銀行へ行かなくてもいい。
入出金データをエクセルファイルで取り出せるので、口座管理が楽になる。
ここで口座を分けたメリットも出てきます。
たとえば売上用口座の入出金データをエクセルで取り出し、縦計算させれば一瞬でその月の売上入金が把握できます。 また、売掛金の消し込みも簡単にできます。
パソコンは出来るだけ利用しよう!
先日も今まで手書きで記帳していたクライアントさんと顧問契約を結ばせていただき、パソコン会計を導入したのですが、大変喜ばれました。
今回の事案では経理をされる方はワードとエクセルを使われるくらいのパソコンスキルでしたが、約2ヶ月で導入完了しました。
それにより、今までは決算が終わらないと会社の損益が分からなかったのですが、月次単位で損益が把握できるようになりました。
損益以外にもそれぞれの科目でその時点の金額を把握できるので、たとえば、
『これまで交際費○○万円使ってるから非課税枠超えないようにするには、そろそろ引き締めないといけない。』 なんて意思決定も出来てきます。
もちろん紙も減りました。
また、手書きより『楽』だと言っていただいてます。 このほかにも給与計算・在庫管理・販売管理も全てパソコンで行えます。 最近の販売管理システムは仕入先データをあらかじめ登録しておいて毎月請求額を入力すれば、インターネットバンキング用の支払データを作成してくれる機能があるものもあります。いちいち振込作業をする手間が減ります。
最後になりますが、経理事務の合理化をすすめていけば、売上規模5億円くらいの会社までは経理社員ひとりでまわるようになります。
アーリーステージの会社ならば経理専門のスタッフを置かなくても出来ます。 経理の合理化は経費の合理化に繋がります。
自計化をすすめる
自計化をすすめるにあたって必要となってくる会計ソフトについて少し詳しくご説明いたします。
市販の財務会計ソフトは
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弥生『弥生会計』
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ソリマチ『会計王』
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OBC『勘定奉行』
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PCA『PCA会計』
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JDL『IBEX会計』
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応研『大蔵大臣』
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エプソン『財務応援』
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ミロク『法人会計』
といったところでシェアのほとんどをカバーしていると思います。
値段もさまざまで、はっきりいってどれ買ったらいいかよく分かりません。
やはり高いソフトはそれなりに機能が充実していますが、事業規模から言ってそこまでの機能は必要ないんじゃないの。
ということもありますし、逆もしかりです。
皆さんの会計ソフトを使われる状況がさまざまですので、私も一概にコレがいい!!
とは言えませんが、会計ソフト選択の際に気をつけたほうがいいところをあげていきます。
私も全てのメーカーは使ったことがないため、
今回は使ったことのあるメーカーのみ分類していきます。
1)使用目的は法人か個人か
基本的に個人であれば、そんなに高いソフトを買う必要はありません。
逆に、中には個人非対応のソフトもありますので、買ってから『個人で使えなかった…』
ということのないように気をつけてください。
個人向けのものは青色申告を目的としていますので、経営分析を行ったり、
部門管理をしたりする機能 はほとんどついてません。
また、将来的に法人成りを考えられている方は、すこし上のものを選んでおいたほうが良いかもしれません。
話を付け加えますと、個人非対応でも個人で使えないことはないのですが、科目を変えたり追加したりと導入時に面倒なことがでてきます。
A:個人事業者向け商品
商品名 | メーカー | 税抜定価 |
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みんなの青色申告 | ソリマチ | 10,000円 |
やよいの青色申告 | 弥生 | 12,000円 |
B:個人事業者~小規模法人向け商品
商品名 | メーカー | 税抜定価 |
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会計王 | ソリマチ | 40,000円 |
経理じまん | PCA | 39,800円(部門管理不可) |
弥生会計スタンダード | 弥生 | 39,000円(個人可・部門管理不可) |
IBEX出納帳 | JDL弥生 | 58,000円 |
奉行J-会計編 | OBC | 80,000円(10部門まで) |
2)法人の場合事業規模はどうか
事業規模によっても選択肢は変わってくると思います。
特に部門管理が出来るかどうかは確認されたほうがよいと思います。
部門管理が出来ないと販売部門別に実績を出す場合や店舗別に実績を出す場合に困ることになります。
基本的には開業間もない小規模法人であればB分類、それ以上であればC分類でかなりの規模の会社までカバーできると思います。
C:中小法人向け商品
商品名 | メーカー | 税抜定価 |
---|---|---|
会計王プロ | ソリマチ | 60,000円 |
弥生会計プロフェッショナル | 弥生 | 70,000円 |
IBEX会計 | JDL | 114,000円 |
勘定奉行i | OBC | Bシステム 200,000円Sシステム 250,000円 |
PCA会計 | PCA | システムA 150,000円(部門管理不可)システムB 250,000円 |
3)入力者や使用者の人数は
会社が大きくなれば経理担当者も増えますので、複数のパソコンで入力や処理をすることになってくると思います。
その場合はネットワーク対応ソフト(D分類)の出番になってきますが、基本性能はC分類とさほど変わりません。付加価値として財務分析資料や出力帳票が増えてたりします。
D:それ以上(ネットワーク対応)
商品名 | メーカー | 税抜定価 |
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会計王LANパック | ソリマチ | OPEN |
PCA会計forSQL | PCA | 360,000円~ |
弥生会計ネットワーク | 弥生 | 240,000円~ |
勘定奉行iNETWORK | OBC | 880,000円~ |
IBEXEnterprise会計 | JDL | OPEN |
4)担当者の経理・会計に対する熟練度はどうか
最近のソフトはあまり経理を知らなくてもかんたんに利用できるものも多くなっています。
かなり直感的に入力が出来るものが増えていることがコンピューター経理の普及に一役買っているのは確かでしょう。
相対的に価格の安いソフトのほうが初心者でも入力が分かりやすい場合が多いです。
(逆に熟練者はストレスがたまるかもしれません。)価格の高いソフトはコード入力(勘定科目に割り当てられているコード番号で入力)が基本の場合もあります。
慣れてくればコード入力のほうが速いです。(私はコード番号が覚えられないのでコード入力しませんが…)
入力に役立つ機能として使える機能は弥生会計や勘定奉行のように元帳に直接入力することが出来る機能や会計王の前年仕訳が表示できる機能があります。
特に元帳に直接入力できる機能はお勧めです。
5)財務分析を利用するか
たとえば勘定奉行とPCA会計でシステムAとかBとかの差はほぼ財務分析機能がついているかどうかの差です。財務分析等は行わない(税理士などに任せる。)という場合にはほぼ使わない機能ですので、価格とのバランスで検討することになります。。
特にキャッシュフロー分析などの機能を使う場合には、仕訳入力の方法なども規則に従わないと適正な結果がでない場合がありますので、注意が必要です。
6)他のソフトとの連携はどうか
業務ソフトも会計ソフトだけではなく、給与ソフトや販売管理ソフトも使われるかもしれません。
やはり同じメーカーのソフトを使うほうが操作性が統一されるので効率はいいと思います。
7)ランニングコストの検討
会計ソフトは購入したあともコストがかかります。
基本的にはユーザー登録をするとサポート契約のお知らせが来ます。
サポート契約を結ぶと使い方に疑問があったときにヘルプデスクの利用ができたり、新バージョンが発売されたときに安く買えたり、無料でもらえたりします。
逆にサポート契約を結んでないとバージョンアップの必要性があったときに再度買いなおさなくてはならない場合もあります。
しかし、この契約料が馬鹿になりません。安いものでも年間2万円程度、高いと5~10万円とかかかります。
この金額はソフトの価格と同様に検討したほうがいいと思います。
ただ、サポート契約を結ぶ一番のメリットは、新しいバージョンが安価(無料)で手に入るということでしょうから、常に新しいバージョンのソフトを利用されたい方はサポート契約も入ったほうが良いかもしれません。
8)クラウド会計の検討
インターネットの進化により、会計処理をネット上で行うサービスも登場してしてきました。
いわゆる『クラウド会計』というものです。
クラウド会計の利点ですが、
- インターネット上のシステムを使うのでいつでもどこでもインターネットが使えるパソコンがあれば利用ができる。
- 銀行の入出金データやクレジットカードのデータを自動取り込みできるため、入力の手間を大幅に削減できる。
- クラウドサーバーにデータがあるため、データ消失のリスクが少ない。その反面、手入力処理はネットを介するため反応速度が遅い。
- 部門管理などの複雑な機能は有していない。
などの弱点もありますが、取引量があまり多くない場合であれば非常に威力を発揮してくれます。