独立・企業をお考えの方
さて、みなさんは何か商売を始めようと思っています。
今までサラリーマンとしてがんばってきて、念願の独立に向かっている方、
会社を定年退職して、第2の人生を自ら切り開こうとされている方、様々だと思います。
独立・起業にあたっては、だれでも次のようなことを考えると思います。
何のビジネス?
独立・起業を考えるにあたって、まず最初に行うことはビジネスモデルを構築することです。
私のお客様では、以前の職業で培ったノウハウや人脈を使ってできるビジネスを始める方が多いですが、見ていると確かにこれが一番確実です。
はじめから、どの程度のビジネスになるかを感じ取ってますので、独立・起業してある程度の時間が経てば、想定どおりの売り上げを実現することが多いです。
もちろん、全く違う分野に参入してビジネスで独立・起業する方もいます。
参入しようとする業界やマーケットの研究をとことん行い、いままで全くなかった商品やサービスを作り出す。
というのは大変やりがいがあるでしょう。
また、ビジネスにおいては『モノマネ』もOKだと思います。
既存の商品やサービスに、隠し味を加えただけでも、商売になる可能性は充分あります。
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やりたいと思う事業に対する熱い思い
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具体的な戦略
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業界知識
などがきちんと確立され、家族の理解と、周囲の協力があって、スタートラインに立った。といえるでしょう。
事業資金は?
事業資金についてですが、事業の性質やボリュームにもよりますが、独立・起業にあたって、生活資金まで全て事業資金に投下してしまうことは大変なリスクが伴います。
事業を始めた瞬間から収入が上がる場合はいいのですが、当面の間は、なかなか自分の給料が取れない場合も多いです。
当分の間、収入が無くても生活できるだけの資金は確保しておかないといけません。
よく、最低半年分の生活費は確保しておいたほうがいい。といわれます。
では、事業資金で足りない分はどうするのか?
家族や親類・知人から借りるか、金融機関に融資を受けるかのどちらかになると思います。
家族や親類・知人から借りることに抵抗がある方も多いと思いますが、私は借りられるのであれば、金融機関で借りるよりもこちらを優先したほうがいいと思います。
また、個人的な借入は、あとから贈与とみなされないように借用書を作成しておきましょう。
金融機関で借りる場合ですが、まずは、日本政策金融公庫を利用するのが良いと思います。
無担保・低利で融資を受けられる場合が多いですし、融資実行までの時間も比較的短くすみます。
また、最大で自己資金の2倍までの借入ができます。日本政策金融公庫の創業融資制度には
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新規開業ローン
新規開業資金
女性、若者/シニア起業家資金 -
食品貸付
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生活衛生貸付
などがあります。
個人か法人か?
次に事業を行う形態です。
会社を作って商売をするか、個人事業者として商売をするか、ということです。
言い換えると社長になるか、親方になるか、ということでしょうか。
ここで陥るのが、とりあえず商売するのだから会社を作ってしまえ!という発想です。
ですが、そんなに単純なものでもありません。
たしかに会社法改正により、資本金1円からカンタンに株式会社設立が出来るようになりました。
しかし、ただ商売をするだけなら、個人でも出来ます。
税務署に『事業開始届け』を提出すればいいだけです。
では、なぜ皆さん会社を作るのでしょうか?今回は会社を作るメリットについてお話します。
法人としてのメリットって?
1.カッコイイ(・∀・)
というのは言い方が悪いですが、やはり法人名のほうが名前のとおりがよくなります。
法人のほうが対外的信用度が高い。といえばいいでしょうか。
お客さんの立場から考えます。
たとえばネットオークションで同じ商品が同じ落札額で出品されていたら個人の出品よりも会社が出品しているものを落札したほうが安心だという心理が働くと思います。
お客さんも会社だったらきちんと商売をしていると考えるわけです。
また、商売に必要なものを仕入れたりする場合も、仕入先は与信管理というものを行っていることも多いです。
しっかりした仕入先であればあるほど、与信管理もしっかりしていて、個人ではナカナカ取引をしてもらえない。
ということもあります。(法人だから必ず取引してもらえる。ということでもありませんが。)金融機関からお金を借りる場合も同じようなことが言えます。
2.税金が安くなる?
法人形態の場合は個人形態より税制上優遇される部分があります。
- 税率が低くなる場合がある。
個人事業の場合は事業の儲けはそのまますべて親方の所得として所得税がかかってきます。
所得税は所得が多くなれば税率が上がっていきますので、儲かると税率も高くなっていきます。
それと比べて、法人税の税率は大体一定になります。
ですので、儲けによっては、法人のほうが税率が安くなる場合があります。 - 社長の給料が経費になる。
法人で事業を行う場合は、社長さんは会社の儲けの中から給料をもらうことになります。
その給料分は会社の経費になりますので、会社としての所得はその分低くなります。
法人の所得と社長の給与(所得)に所得を分散することにより、税金を安く出来る場合があります。 - 家族に払う給料が経費に出来る場合がある
事業を家族に手伝ってもらったら、家族にも給料を払いたいと思います。
個人事業の場合は家族に給料を払う場合、要件が厳しくほとんどフルタイムで働いていないと払った給料を経費にすることは認められません。
法人の場合、家族に少し仕事を手伝ってもらい、その分の給料を払う場合、仕事内容に不相応に高額な給料は認められませんが、仕事内容に相応な給料は経費として認められます。 - 損失の繰越期間が長い
事業を行うと赤字が出ることもあると思います。たとえば昨年赤字が100万円出て、今年黒字が300万円出た場合、適正に申告していれば、昨年の赤字 100万円を今年の黒字300万円から差し引くことが出来、差し引いた200万円についてだけ税金を払えばいいことになります。
これを『損失の繰越控除』といいます。
この赤字が繰り越せる期間は個人が3年間なのに対し、法人は7年間となっています。(※青色申告をした場合)
3.社会保険に入れる!!
個人事業主は国民年金と国民健康保険にしかは入れませんが、法人の経営者は届出をして政府管掌の健康保険にも厚生年金にも入れます。
法人を設立して事業を行うことには以上のようなメリットがあります。
では、個人事業(親方)にはメリットはないのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。個人事業の場合のメリットもあります。
個人としてのメリットって?
1.設立費用が要らない
ご存知だとは思いますが、法人を設立する場合は、法務局に登記をしなくてはなりません。
登記費用は場合によりますが、自分でやっても最低25万円くらいかかります。
専門家にお願いすると更に10万円くらい手数料がかかります。
また、申請費用以外にも会社の印鑑を作ったり、細かいものが結構かかりますし、手間も取られます。
個人事業で行えば、これらのコストはもちろん一切かかりません。
2.経理・申告がラク
個人事業の場合は、法人よりも帳簿付けは簡単に行うことが認められております。特に簿記の知識がなくても帳簿付けは可能だと思います。 法人の場合は基本的には複式簿記により記帳を行いますので、会計ソフトを使うにしても、ある程度は勉強が必要となります。 また、申告書も法人税の申告書作成は基本的に専門家に頼むことになると思います。それだけ難しいのです。今は優秀な申告書作成ソフトがありますが、やはり申告書作成の知識がない人が作成するのは間違いの元です。あとからトラブルになることも良くあります。 所得税の申告については詳細な解説も申告書についてきますし、税務署に行っても親切に教えてくれますので、ご自分で作成することも可能だと思います。
3.均等割りがかからない
個人事業の場合は所得がマイナスなら税金はかかってきません。 ですが、法人の場合は、所得がマイナスとしても、地方税均等割というものが毎年かかってきます。 均等割とは、そこで事業を行うためのショバ代みたいなもので、税務署ではなく地方公共団体に支払います。均等割は最低7万円です。これを利益が出なくても絶対に払うことになります。
4.社会保険の加入義務がゆるい
実態は別として、法人は社会保険の加入が義務付けられています。個人経営の場合は一定規模以下であれば、加入しなくても良いことになっています。だいたい 従業員を社会保険に加入させると、会社の負担額は従業員給与の十数%アップします。結構な負担増になってきます。
5.消費税課税の基礎となる売上計算が違う
消費税は法人・個人問わず、すべての事業者に納税義務があります。
また、儲かっていてもいなくても納税義務はありますので、小規模事業者にとっては法人税よりも負担が大きくなってくる税金です。
ただし、消費税の納税は免除されることもあります。
カンタンに言うと前々年度の売上が1,000万円以下の年度は法人・個人問わず消費税の納税義務が免除されます。
この前々年度のことを『基準期間』といいます。
また、開業1年目と2年目は前々年度(基準期間)がありませんので、消費税の納税は免除されます。
ですが、ここで形態によりいくつか違いがでてきます。
1)資本金1,000万円以上の法人は開業1年目から消費税の納税義務がある。
2)開業1年目の期間が12ヶ月に満たない場合、法人は売上を12ヶ月換算して基準となる売上を計算しなければならない。
たとえば、個人事業者と事業年度が1月から12月までの法人が、ある年の7月から事業を始めたとします。
その年の売上は、どちらも800万円でした。
個人事業者の場合:売上800万円(1,000万円以下)なので2年後も消費税は免除。
法人の場合:800万円÷6ヶ月(7月~12月)×12ヶ月=1,600万円(1,000万円超)なので、2年後は消費税の納税義務が発生する。
ということで、同じ売上でも法人には1年早く消費税の納税義務がやってきます。
※平成25年1月1日以降取り扱いが変わります。詳しくはこちら
もう、お分かりかと思いますが、どちらが良くて・どちらが悪いというものではありません。
状況で良い・悪いは変わってきます。
商売に重きを置くのか、税金対策に重きを置くのかでも変わってきます。
ここからは、ご自身のビジョンに合わせて、法人にするか、個人事業者にするかをご判断されるのが良いかと思います。
判断基準がたくさんあるので、多方面からお考えになることをオススメします。
【法人成り】のコラムにも個人と法人の比較がありますので、宜しければそちらもご覧ください。
事業計画は?
事業計画書は事業を実践するための指標です。
行き当たりばったりでは、事業の収益化もおぼつきません。
また、金融機関で融資を受けるときにも事業計画書の提出を求められます。
私のお客様でもすばらしい事業計画書を作成される方がたくさんいらっしゃいます。
事業計画を作ることにより、自分のやろうとしている事業を更に具体的に考えることが出来、また客観的にその事業を捉えることが出来ます。
そして、支援者や周りの人にその事業に対する熱意や思いを伝えることが出来ます。具体的には、
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事業の目的
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業界の分析と、その事業の業界における位置づけ
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事業の概要
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事業の将来性
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実現可能性
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強み・弱み・特殊性
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具体的スケジュール
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中期、長期の目標
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資金計画・損益計画
などを織り込んでいきます。
資金・損益計画は?
事業計画とともに資金・損益計画を立てることになります。
1.資金計画
資金計画を立て、必要資金と調達方法の見積りをします。
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設備資金
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仕入費用
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運転資金
具体的には上記の点を見積り、その調達先を見積もります。
2.損益計画
損益計画は開業初年度(事業が軌道に乗るまで)は月単位で作ったほうが良いでしょう。
その後、3年、5年・・・というスパンで作っていきます。
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必要売上高
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想定原価率
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人件費
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諸経費
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支払利息
具体的には上記の点などを個別に見積もっていきます。
重要なのは、
自分の給料が取れる・ 借入金の返済が出来る・ 投下資金を目標期間で回収できる・ 納税資金を留保できる 計画でないといけません。
これらはすべて利益が原資となりますので、損益計画も目標利益から設定することになります。
これらを満たせない場合は、
投資内容の再検討・ 売上計画の再検討・ 経費内容の再検討 が必要になってきます。
最終的に資金計画と損益計画がリンクする計画になるまで検討します。
ご提案
トータルサポート税理士法人からのご提案
弊社ではこれから独立・起業を考えられている皆様にご協力させていただきたいと考えております。
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事業計画 / 損益計画のアドバイス
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資金調達のアドバイス
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起業に当たって必要な協力者のご紹介
などなど、他にもお力になれることがあると思います。
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具体的なビジネスモデルがある
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数年以内に独立・起業する予定
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起業後に弊社を顧問契約していただける
上記のようなお客様には無料でご協力させていただきますので、是非、お気軽にトータルサポート税理士法人へお問い合わせ下さい。
ご連絡お待ちしております。