特例の概要
小規模宅地等とは
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。(注)
- 被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます。
- 宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。
減額される割合
小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
- 「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
- 「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
A+(B×5/3)+(C×2)≦400平方メートル
A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計
B:「特定居住用宅地等」の面積の合計
C:「貸付事業用宅地等」の面積の合計
居住用宅地の場合
特定居住用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。
※1 相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人
※2 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。
事業用宅地の場合
特定事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。
区分 | 特例の適用要件 |
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被相続人の事業の用に供されていた宅地等 | その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。 |
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。 |
※それぞれ、相続税の申告期限まで保有していることも条件になっています。
貸付事業用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。
区分 | 特例の適用要件 |
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被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 | その宅地等の上で営まれていた被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。 |
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で貸付事業を営んでいること。 |
※それぞれ、相続税の申告期限まで保有していることも条件になっています。
特定同族会社事業用宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等で、下記の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人をいいます。
- 法人役員要件・・・相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く))であること。
- 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。