遺言代用信託
信託銀行の遺言代用信託が好調のようです。
日経新聞によると、『銀行全体の契約件数は、2010年度に44件だったのが、13年度は上期だけで2万件超(信託協会集計)』
とのことなので、好調というより急増ですね。
遺言代用信託ってなんでしょうか?
相続税の相談をしていると、信託銀行に依頼してはいるものの、それがどういうものなのかをご認識
されていない方もいらっしゃいます。
例えばその方は信託銀行の”商品としての”「遺言信託」でした。
公正証書遺言の作成、保管、遺言執行を信託銀行にお任せするものです。
税の申告は別途税理士が行うと聞いてびっくりしたようです。
遺言信託(遺言による信託)は、信託法上は遺言の中で信託の内容を決めるものです。
つまり生前に受託者との間で信託契約を設定するのではなく、遺言書でそれを決めるというものです。
では遺言代用信託は?
信託契約の中で、信託契約の中で委託者が死んだら他の者が受益権を取得すると決めたものです。
(遺言と同様の効果をもたらすものです。)
具体的には、委託者(本人)が生存中は受益者を委託者自身とし、委託者が死亡後の受益者を配偶者や子
に定めて、自分が亡くなった後の財産分配を信託によって実現しようとするものです。
遺言代用信託の場合は委託者は受益者を変更する権利を有します。
そして、信託銀行が販売している遺言代用信託は、この仕組みを商品化しています。
信託銀行は預かった資金を、元本保証型の金銭信託という商品で運用し、
本人が亡くなったときに、あらかじめ決めておいた方法で資金を払い出すというものです。
死亡後に受取人が決まっているため、分割協議書と相続人全員の印鑑証明書、遺言書などが
なくともスムーズにお金を受け取ることができるという利点があります。
担当:内山 雄介