都市部の地籍調査の進捗は24% 地籍調査とは?
◆「地籍調査」とは?
「地籍調査」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか? これは、市町村等が、
一筆(土地登記簿の一区画)ごとに土地の「所有者」・「地番」・「地目」を確認し、
所有者の立会いのもとで「境界」を確定する国土調査法に基づく事業のことです。
この国土調査法という法律が成立したのは、昭和26年。当時の登記所には、土地
の現況に関する資料として「土地台帳」と「付属地図」(明治時代に地租改正を行
った時の調査資料)が備え付けられていましたが、さすがにこの時代の測量技術を基
としているので不正確なものでした。
のため、戦後の復興に資するという観点から、正確な地図へ置き換えていこうというのが、
「地籍調査」事業の目的でした。
◆「境界確定」の他にもメリットが多い
もちろん、今日においても「地籍調査」はその意義を失っておりません。
土地の位置(経度・緯度などの座標情報)や面積の正確な地図が公に整備されて
いれば、土地の売買や相続の際に生ずる「境界争い」などのトラブルを未然に防ぐこと
ができます。
また、公共インフラの整備や用地買収、災害時に土地の形質が変わった場合の
復旧にも、その情報を役立てることができます。
◆都市部の地籍調査進捗率は24%!?
このようなハッキリしたメリットがあるにもかかわらず、「地籍調査」は、65年近くの間、
なかなか進んでいません。
国交省HPによれば、平成27年度末現在の全国の進捗率は51%。地域差が顕著
に表れており、特に権利関係が複雑な都市部では24%(東京は22%)しか進んで
いません
◎進捗率ベスト3:沖縄99%、福岡98%、青森93%
◎進捗率ワースト3:京都8%、三重9%、大阪10%
実施主体の市町村は、人員不足や財政問題を抱え、住民側も土地の権利関係に
ついて「寝た子を起こしたくない」という意識もあり、調査は難しいものになっています。
◆「公図」と「現況」のズレも調査
都市部の地籍確定率24%という数字は、都市部の「公図」の約3/4はあまり参考
にならないことを意味します。
これではいけないということで、全国の都市部の地籍整備を推進するため、国交省など
が協力し「都市再生街区基本調査」(H16~H18)が実施されました。
この調査では、公図の角の点に対応すると考えられる現況の座標を、「地籍調査」の
基礎情報として測量しています。
担当:内山 雄介