自社株が非課税で贈与できる?(事業承継税制の改正)今年の新設
前回は、今までの事業承継税制の概要についてお話し、ほとんど利用する会社がなかった。
というお話をしました。
ただ、経営者の高齢化はこの間にもどんどん進んでおり、団塊の世代が70歳を迎えるこれからの数年間がピークとなってきます。
待ったなしで次世代に経営を引き継がせるために国が頑張って作ったのが今回の事業承継税制の改正です。
ここで『改正』といいましたが、厳密には今までの事業承継税制は継続していて、特例措置でいわゆる『税金ゼロ』の制度が時限立法として作られた。
というのが正しいそうです。
で、その税金ゼロの制度ですが、前回説明した要件(制限)がかなり緩和されましたので前回と比較してみます。
・後継者は1名に限る→後継者は3名まで、親族外も可
・猶予を受けられるのは先代代表者・筆頭株主の持ち株のみ→代表者・筆頭株主以外も対象(お母さんや叔父さんなど)
・猶予を受けられる株式は議決権総数の2/3まで→全株対象
・猶予を受けられる税額は贈与税100%、相続税80%→100%猶予
・適用後5年間の雇用維持用件をクリアできないと猶予打ち切り。→クリアできなくても猶予を継続可能に
・万が一廃業した場合には過大な税負担が生じる可能性がある。→負担軽減措置の創設
ご覧の通りかなり甘くなっています。
ただ、国も無条件に甘くしてくれるわけではなく、甘くしてもらうのには
1.平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に会社所在の都道府県に『特例承認計画』という書面を提出し、認定を受ける必要があります。
2.平成39年12月31日までに贈与を行わなくてはならない。
3.贈与(相続)を実行してから5年間毎年都道府県と税務署に報告書(届出書)を提出しなければならない。
4.5年経過後は贈与者の死亡まで3年ごとに税務署に届出書を提出しなければならない。
といったような書類の提出が必要となってきます。5年間毎年とか3年に一回とか、忘れそうですね・・・
いずれにせよ少しでも事業承継を考えているのであれば、これから5年以内に『特例承認計画』の提出をしておくことがマストということなのだろうなぁ。と思います。
なお『特例承認計画』の作成は経営革新等支援機関の指導助言が必要となります。
担当:内山 雄介