国税庁 平成24事務年度の所得税等の調査事績を公表
国税庁が公表した、平成24年事務年度の所得税および消費税(個人事業者)の調査事績について
簡単にまとめます(※平成24事務年度:平成24年7月~平成25年6月)。
所得税の調査件数は前事務年度比88%の68万2千件と減少しました。
この調査件数のうち、いわゆる調査官がやって来る調査は上記に内7万件で、残りは文書や電話
による面接を行い、申告内容を是正するものです。
減少の理由は前回の記事と同様で、国税通則法の改正等による影響で、調査一件当たりの事務量
が増加したことにあるようです。
また、消費税(個人事業者)も同様に件数は減少し、所得税・消費税ともに追徴税額も減少しております。
ここで、所得税の調査状況について特徴的な事項を加えます。
1.海外取引
国税庁報告では、申告漏れ等の件数が3,114件(前年度4,019件)、
申告漏れ所得が483億円(同593億円)と減少しています。
租税条約に基づく情報交換の規定により、海外の税務当局から自動的に提供される資料があります。
これらの情報により海外での所得は日本に送金しなくても把握されています。
日本国内に住所があれば、例え現地で税金を納めていても、全世界の所得を申告する必要がありますので、
ご注意ください。
2.インターネット取引
国税庁報告では、申告漏れ等の件数が1,886件(前年度2,201件)、
申告漏れ所得が206億円(同250億円)と減少しています。
ネット通販とネットオークションで58%を占めています。
3.金・地金取引
国税庁報告では、申告漏れ等の件数が1,813件(前年度1,309件)、
申告漏れ所得が107億円(同79億円)といずれも増加しています。
2012年1月1日から支払調書の提出(支払対価200万円以上)が義務付けられたことにより、
調査が活発になったと思われます。
さらに、東京国税局管内では、
申告漏れ等の件数が560件(前年度265件)、申告漏れ所得が32億円(同17億円)
と、いずれも全国の3分の1に迫る数字となっております。
参考:税務通信11月4日号
担当:内山 雄介