起業しよう!!~社長になるか親方になるか~③
今回は個人事業(親方)のメリットをあげていきます。
①設立費用が要らない
ご存知だとは思いますが、法人を設立する場合は、法務局に登記をしなくてはなりません。登記費用は場合によりますが、自分でやっても最低25万円くらいかかります。専門家にお願いすると更に10円くらいかかります。また、申請費用以外にも会社の印鑑を作ったり、細かいものが結構かかりますし、手間も取られます。個人事業で行えば、これらのコストはもちろん一切かかりません。
②経理・申告がラク
個人事業の場合は、法人よりも帳簿付けは簡単に行うことが認められております。特に簿記の知識がなくても帳簿付けは可能だと思います。
法人の場合は基本的には複式簿記により記帳を行いますので、会計ソフトを使うにしても、ある程度は勉強が必要となります。
また、申告書も法人税の申告書作成は基本的に専門家に頼むことになると思います。それだけ難しいのです。今は優秀な申告書作成ソフトがありますが、やはり申告書作成の知識がない人が作成するのは間違いの元です。あとからトラブルになることも良くあります。
所得税の申告については詳細な解説も申告書についてきますし、税務署に行っても親切に教えてくれますので、ご自分で作成することも可能だと思います。
③均等割りがかからない
個人事業の場合は所得がマイナスなら税金はかかってきません。
ですが、法人の場合は、所得がマイナスとしても、地方税均等割というものが毎年かかってきます。均等割とは、そこで事業を行うためのショバ代みたいなもので、税務署ではなく地方公共団体に支払います。均等割は最低7万円です。これを利益が出なくても絶対に払うことになります。
④社会保険の加入義務がゆるい
実態はおいといて、法人は社会保険の加入が義務付けられています。個人経営の場合は一定規模以下であれば、加入しなくても良いことになっています。だいたい従業員を社会保険に加入させると、会社の負担額は従業員給与の十数%アップします。結構な負担増になってきます。
⑤消費税課税の基礎となる売上計算が違う
消費税は法人・個人問わず、すべての事業者に納税義務があります。また、儲かっていてもいなくても納税義務はありますので、小規模事業者にとっては法人税よりも負担が大きくなってくる税金です。
ただし、消費税の納税は免除されることもあります。
カンタンに言うと前々年度の売上が1,000万円以下の年度は法人・個人問わず消費税の納税義務が免除されます。
この前々年度のことを『基準期間』といいます。
また、開業1年目と2年目は前々年度(基準期間)がありませんので、消費税の納税は免除されます。
ですが、ここで形態によりいくつか違いがでてきます。
1)資本金1,000万円以上の法人は開業1年目から消費税の納税義務がある。
2)開業1年目の期間が12ヶ月に満たない場合、法人は売上を12ヶ月換算して基準となる売上を計算しなければならない。
たとえば、個人事業者と事業年度が1月から12月までの法人が、ある年の7月から事業を始めたとします。
その年の売上は、どちらも800万円でした。
個人事業者の場合:売上800万円(1,000万円以下)なので2年後も消費税は免除。
法人の場合:800万円÷6ヶ月(7-12月)×12ヶ月=1,600万円(1,000万円超)な
ので、2年後は消費税の納税義務が発生する。
ということで、同じ売上でも法人には1年早く消費税の納税義務がやってきます。
次回に続きます。
担当:内山 雄介