自己株式の税務と会計
ムズカシイので、分かる人だけ読んでください。
自己株式の取得と処分について。
A自己株式発行会社側
平成18年度改正取り扱い(前)有価証券→(後)有価証券から除外
※今まで取得価額に加えられ損金とならなかった購入手数料が取得時に損金算入できるようになった。
自己株式の取引は資本等取引に準じて取り扱うこととなったので、その理屈からいうと、時価以外の取引がなされても、(いくら高く買っても、安く売っても)時価との差額には課税関係は生じないと考えられる。
が、実務ではこれを認めると、極端な取引も認めることとなってしまうので、今後課税庁側で何らかの対策が採られるかも知れない。(今のところは無いが。)
まあ、取引価額は事前照会したところでお墨付きなんかもらえないが・・・
★相対取引による自己株式取得の場合
【税務上】取得資本金額(取得直前の資本金等(資本金+資本積立金)の額×取得株式数÷発行済み株式数)を資本金等の額から控除(別表五(一)Ⅱ欄で控除)交付金銭等が取得資本金額を超える場合には、その超える部分の金額を利益積立金から取り崩す。(みなし配当)
資本金等の額 150 現金預金 190 利益積立金 40
※2以上の種類株式が発行されている場合は種類株式ごとに区分して処理別表五(一)Ⅱ欄を種類株式ごとに作るか、まとめて作って明細票を添付する。
【会計上】交付金銭等の額を純資産の部で株主資本から控除する。
資本金等の額 190 現金預金 190
【申告調整】利益積立金の取り崩し40部分を加算調整する。
★市場取引による自己株式取得の場合
税務上も会計上も
資本金等の額 190 現金預金 190
★自己株式の処分等
①売却 【税務上】新株発行に準じた処理 →税務上は自己株式を取得した時点で消却したとみなすため、売却するときは新たに株式を発行する形を取る。 →対価の全てが資本金等の額の増加額となる。
現金預金 300 資本金等の額300
【会計上】自己株式の処分差益→その他資本剰余金に計上自己株式の処分差損→その他資本剰余金から減額(控除しきれない場合はその他利益剰余金のうち繰越利益剰余金から減額)
現金預金 300 自己株式 190 自己株式処分差益 110(その他資本剰余金)
②消却 【税務上】自己株式は取得時に資本金等の額又は利益積立金から減額されているので処理の必要なし。
【会計上】消却手続きが完了したときに、対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
その他資本剰余金 190 自己株式 190
B売却株主側 受領する交付金銭等のうち資本金等の払戻しの部分を超える金額が『みなし配当』となる。
(特例)個人株主が平成21年3月31日までの間に上場会社等の株式を公開買付により譲渡する場合には、
みなし配当課税は行わず、譲渡課税となる。
(特例)相続又は遺贈により財産を取得した個人が、相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に非上場株式を発行会社に譲渡した場合には、 みなし配当課税は行わず、譲渡課税となる。
※売却株主側の対象株式の簿価が170だった場合
税務上は現金預金 190 有価証券 170 譲渡損 20 みなし配当 40
ということになるが、
会計上は現金預金 190 有価証券 170 譲渡益 20
と処理をして、配当と譲渡損益を申告調整することとなる。
担当:内山 雄介