税法改正その弐
前回に引き続き税法改正の話です。
今日は「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」についてお伝えします。
「会社法」という法律が改正されまして、会社が簡単に作れるようになりました。
今までは資本金規制というものがあり、株式会社は1000万円無いと作れなかったのですが、会社法の改正により資本金規制が撤廃され、お金が無くても会社が作れるようになりました。サラリーマンでも主婦でも簡単に会社が作れるのです。すごいですね。
ただ、弊害が出てきました。
某雑誌で企業が節税のため従業員に会社を設立させて、給料を従業員個人ではなく、従業員の作った会社に支払う風潮がある。というようなことが載っていました。
なぜ、これが節税になるのかといいますと、
たとえばZ社に勤めているAさんがたった一人で株式会社B社を設立し、今までどおりZ社で仕事をします。
B社の収入はZ社からのAさんの報酬です。
AさんはB社から給与を取ればそれは全てB社の損金になりますのでB社にかかる法人税は安くなります。さらに、仕事に必要なものをいろいろと経費にすればB社の法人税はゼロに近づくでしょう。
さらにAさんはB社から給与を取っていますので「給与所得控除」というものが使え、更に個人所得税も安く出来ます。
ただ、やはり国はそんなことは許してくれないようです。
お題にある「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」とは、
オーナー企業の社長さんに支払う給与のうち、その給与の給与所得控除相当額を会社の損金として認めない。=その分会社の法人税がアップする。ということです。
うーん。なんか裏ワザみたいな法律ですね。たぶん会社の経営者さんもまだあまりご存じないのではないでしょうか。
一方(会社法)では起業を奨励して他方(税法)では起業を抑制するというのもなんかイヤラシイ。
しかも今まで長くにわたって健全に事業をしていたオーナー企業にも適用されてしまうので、節税目的に起業した会社とそうでない会社を混同するのもいかがなものかと。
もっといえば、この法律ほとんどの中小企業が対象になるにもかかわらず適用対象企業の判定や適用除外の判定、金額計算が非常に難しく、専門家でないと申告書を書くのは困難だと思います。ご不安な場合は専門家にご相談をお勧めします。
担当:内山 雄介