相続税改正の影響をいろいろ考えてみる
今日も関東は風が強いですね。
おかげさまで風に弱い電車はすぐに運休になり困ったものです。
とは言え、ヨーロッパは死者が出るほどの厳しい寒波が続いてるそうなので、これに比べると大したことはないのですが。
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さて、今さらながら相続税の改正について。
基礎控除が下がることによって相続税の課税対象が広がることについては、いろいろ騒がれているのでご存知の方も多いと思います。
そこで、小規模宅地の特例の適用範囲拡大と基礎控除の引き下げの関係について考察してみたいと思います。
考察という程ではありませんが・・・(;^_^A
相続税の基礎控除引き下げで騒がれているいちばんの理由は、「今まで相続税の課税対象ではなかった人」も相続税の課税対象になってしまうからです。
例えば、両親と子2名の計4人の家族構成で、父が死亡(相続人は3人)の場合
基礎控除額は、
現 在 : 5000万円+1000万円×3=8000万円
↓
改正後 : 3000万円+ 600万円×3=4800万円
と40%も下がります。
確かにこの差は大きいと思います。
しかし、相続財産のうち土地の占める割合は全国平均では約50%と高いため、小規模宅地の特例の適用範囲が広がる(限度面積拡大+要件緩和)ことによって、「もともと相続税の課税対象だった人」の中で改正による影響がないかむしろ減る人もいるのです。
それはどういう人か?
小規模宅地の特例に該当する土地を持ち、その土地の路線価がそこそこ高くて100坪以上ある人です。
上の例で考えると、改正後は基礎控除額が3200万円の減額。
小規模宅地のうち、一般的な特定居住用宅地については、240㎡→330㎡ と90㎡の拡大。
3200万円÷90㎡=35.5万円/㎡
となるから
これ以上の相続税評価となる土地が特例対象であれば改正前後で相続税の課税価格に影響がないか減ることになります。
また、特定事業用等+特定居住用の限度面積が独立して限度面積計算が可能(400㎡+330㎡)となることから、特定事業用等宅地と特定居住用宅地がある場合にはより現実味が増します。
この他にも貸付事業用宅地対象地が別にある場合などが考えられます。
と屁理屈をこねてみました。
実際、平成22年4月以降の相続では、特定居住用の取得者要件に「同居」が加えられたため、小規模宅地の適用自体が工夫を要するので、少し強引かもしれません(汗)
ただ、相続税大増税!などと騒がれている中でも、冷静に自分の頭で考えてみた方がいいのではないでしょうかと言いたかっただけです。
財産の構成によりインパクトは大きく変化しますので。
最後になりますが、
生きてる間
→現金を持っていても何ら税金はかかりません
→土地を持っていると固定資産税がかかります(取得するとき税金がもかかります)
相続時
→現金で残すと何の軽減措置もありません
→土地を持っている人に多額の軽減措置があります
うまく出来てます。
担当:内山 雄介