武豊色紙めぐり ネットで賛否両論
『天国で応援して下さい ディープインパクト 武豊』。いじめを苦に自殺した福岡県筑前町の中学2年生男子生徒に武豊騎手が、こんな色紙を贈っていたことが2006年10月23日にわかった。生徒の遺書の中に「生まれ変わったらディープインパクトの子どもで最強になりたい」という一節があり、マスコミは「美談」として取り上げているが、ネット上には「武さん・・・ナニやってんの」などのブログやカキコミが現れ、「美談」をめぐって論争が起きている。
この色紙は、自殺した生徒の父親の兄の知人を通じ武騎手に依頼。06年10月20日に自宅に届き自宅の祭壇に飾られているという。同生徒は馬好きで調教師に憧れていて、また生徒が自殺した日はディープインパクトの引退が発表された日ということもあり、神戸新聞などには、「父親は『本当にありがたい。息子もすごく喜んでいると思います』と話している」という記事が載っている。
「シャシャリ出てくる有名人って腹立たしい」
ただ、mixiの日記やYahoo!!ブログを見ると賛否両論がある。
「ディープの子が走るのは数年後。ユタカを始め騎手たちは、こうしてまたひとつ思いを乗せて走っていくのかな」「 嫌な事件やくだらないニュースばかりだけど、ヒーローってこうなんだな!」
一方で、
「武さん・・・ナニやってんの。こういうのはね、不治の病に冒されて寝たきりのベッドからテレビを観ながら『ベーブ・ルース、ボクのためにホームラン打って』的にそれでも目をキラキラさせて必死で生きようとしている子に書いてあげるモンでしょうが。さもイイコトしてあげてるみたいにこういう風にシャシャリ出てくる有名人ってすっごい腹立たしいんですけど」
「2ちゃんで見かけた中で一番いい話」
2ちゃんねるでも同じ傾向が見られる。「『天国で応援して下さい』武豊騎手がいじめで自殺した少年にサイン色紙贈る」のスレッドが立ったのは、06年10月23日。「こういう偽善って大嫌い。”死んだから”サイン色紙あげたんだろ?」というカキコミから論争が展開されていく。
「いじめられてかわいそうだったろうさ。だけど死んでちょっとはうかばれたかみたいになるのもおかしいと俺は思う」「生前の少年がどれだけ哀願しても色紙なんか貰えなかっただろう」「これで自殺が美化されてしまったわけだが、勘違いなナルシストを増やす事は年少自殺者増加の一因にならないか?」
もちろん、武騎手を賛美、擁護するカキコミは多い。
「2ちゃんで見かけた中で一番いい話かもしれない」「武さんのやさしさは北半球を駆け巡るで!」「実際に何かしたくなると思うよ、武の立場になったら。素直にほめておくべきかと」「豊は優しいな。批判している奴は性格最悪だな、ひねくれすぎだよ」「遺族が気持ち切り替える助けになるならそれでいいだろ。誰が損する訳でもなし」「こういう気遣いが今のスポーツ選手に欠けてるよ」「一流のジョッキーは心も一流だな」「普通にいい話だな。馬券を買うときは最初に武を切る俺でも心が洗われたよ」
これからもネット上で論争が続きそうだ。 (J-CAST)2006年10月24日
ネット上でひとつの事象に対して多面的な意見が飛び交うことは、『こんな考え方をする人もいるのか。』と自分の思考を豊かにできる良い面もあるが、
今回のように善意に対する批判があがった場合、ネットの怖さを感じてしまう。
今回の武選手の行動が100%の善意なのか偽善なのかという話は置いておいて、(私は100%の善意だと考えているが。)
善意の行動に対しても批判されるような社会になってしまったら、善意の行動は死んでしまうのではないか?
良かれと思ってやることに、いちいち難癖をつけられるぐらいだったら、何もしないほうがマシ。という風潮になってしまうのではないか。と少し不安になってしまった。
担当:内山 雄介