政府税調石会長の講演会
政府税調の石弘光会長の講演を訊きにいきました。異例の答申なしの会長談話の直後というとてもタイムリーな講演でした。
やはり今後の税制改正の方向は増税に向かうということです。今までも増税というのはありましたが、消費税を増税すれば法人税や所得税の減税を行い、ネットで見ればたいして増税にはなっていないということが多かったのですが、これからは、歳入を増加させていくために、国民の税負担は増加させていく方向に進むようです。
やはりというかなんというか、800兆もの累積債務を抱え、年間の歳出が80兆に対して歳入は46兆ほどしかない現在の財政をこれ以上悪化させないためには、やむなしということなのでしょうか。
石会長は具体的な数字にはもちろん言及しませんでしたが、お話を伺っていると 10年後に社会保障にかかる負担は現在より30兆ほど増加します。そのうち20兆を保険料の増額でまかない、10兆を公費負担の増額でまかなう見通しで、その公費負担の増額分を消費税増税でカバーするとします。ご存知かもしれませんが、消費税率を1%引き上げると歳入が2兆円ほど増加します。10兆円をカバーするにはやはり税率を5%引き上げて10%程度にしないとバランスがあわない。とおっしゃりたいようです。
ない袖は振れない。ではないですが、アンバランスを是正するには消費税増税もやむを得ない(一庶民としてイヤですが)とも思いますが、本当に他のところでの歳出カットをぎりぎりまでやっているのか?と疑問に思いますし、また、肝心の今後の社会保障のあり方について、政府の考えが国民に伝わってこないのは問題だと思います。どこまで私たちの生活を面倒見てくれるかがまったくわからないのに、増税だけはしますよ。では国民も納得できないでしょう。
EU諸国は日本の消費税にあたる付加価値税の税率は軒並み25%程度と日本に比べ大変高率ですが、ご存知のとおりスウェーデンをはじめ、その社会保障は大変充実しています。老後の不安も少ないと思います。
逆にアメリカは自分の生活は自分で守るという国柄ですので、401Kのように年金も自分で責任持つのが主流です。
日本はどうでしょうか?私などは自営業なので国民年金負担者ですが、国民年金を40年間払いきっても、老後もらえる支給額は年間80万円程度です。それだけではとても生活できる金額ではありません。もっといえば、そのときに年金制度があるかもわかりません。将来に不安を感じるのも当然でしょう。私の子供の世代はもっと不安です。それなのに今後負担は保険料・税金とも増加していきます。(負担が増えたからといって、われわれの老後が明るくなる裏づけもないのに。)それならその増加分を自分の老後のために貯めておきたい。それができないなら、その増加分で国が将来の不安を取り除いてほしいと思う人がいるのは当然だと思います。
石会長もおっしゃっていましたが国民の負担を増やしてEUのような福祉国家にするのか、アメリカのような自助型の国にするのかを今後日本は選択していかなければならないと思います。まず社会保障については、10年程度の短期的な話ではなく、長期的な話で国民納得のいく方針を示してもらえればと思いました。
次回は売上金管理の最終回です。
担当:内山 雄介