ハンバーガーの教訓と従業員のモチベーション
マクドナルドの現会長、原田泳幸氏の著書だ。
マック(apple)からマック(マクドナルド)への華麗な転身をして話題になった方だ。
経営者から一般のビジネスマンまで幅広い層に向けたメッセージが書かれており、良書だと思う。
僕も参考にすべきところが多かった。
特に現場主義・QSC(Q(Quality品質)、S(Serviceサービス)、C(Cleanliness清潔)の意)の徹底を企業再生の柱として強調しているところは興味深い。
バック・トゥ・ザ・ベーシック・ウィズ・イノベイティヴマナー
→基本に返ろう、ただし新しいやり方(革新)を通して。
という意識は全てのビジネスに共通して使えるモノだと思う。
後半では氏のビジネスマンとしての経験から、キャリアアップや転職に参考となるアドバイスが書かれている。
著書全体を通して、氏のビジネスマンとしての意識の高さが伺える。
マクドナルドの『事業的』再生もそういった背景があったのかもしれない。
しかし、そんなマクドナルドも最近は事件が続出している。
現場従業員への残業代の未払いは、訴訟問題にまで発展している。
残業代未払いが社会通念上良いか悪いかという話はおいといて、
マクドナルドでは、長い間サービス残業は行われていたのだと思う。時代が変わった。といえばそれまでだが、氏が社長に就任してからこういった不満が続出して、訴訟にまでなっている。
という状況は何なのだろう?
日本マクドナルド創業者の故藤田田(でん)氏は著書の中で、『給料の払いすぎでつぶれた会社はない』から、『従業員には充分な給料を払う。』という持論でマクドナルドの社員の給与水準の高さを述べていた。
だが、マクドナルドの業績不振の中で藤田田体制からの移行、そのなかで行われたリストラに対する不満が爆発した。ということなのだろうか?
原田氏の話に戻るが、氏は本書で、何度もマクドナルドの社員が有能で意識が高く、会社に対する忠誠心も高いことを強調している。
その社員の意識の高さ(モチベーションの高さ)を維持するために、どうしたらよいのか?
このことはマクドナルドに限らず、経営においては重要なテーマとなってくる。
本書でも人材育成の重要性と、マクドナルドで行われている制度(能力主義・トレーニングプログラム・インセンティブプログラムなど)が書かれている。確かにどれもすばらしい制度だ。
だが、制度だけでいいのか?カネだけでいいのか?という問題は残る。
僕も制度やカネだけで従業員の高いモチベーションは維持できないことは経験で知っている。
この重要なテーマこそ原田氏の言う
基本に返って
『従業員の幸せは何なのか』ということを追求していかなくては、解決できないテーマなのだと思う。
担当:内山 雄介